今日はちょっと論文チックに,「ですます」調でなく「だ,である」調で
書いてみます。調べ物の備忘録的に。つっけんどんだったら許してください。
侵入思考やそのコントロールは,強迫性障害をはじめとした,不安障害の文脈で
語られることが多い。反面,うつ病や抑うつの文脈で語られることは少ない。
しかし,思考抑制の心理学的研究から,うつ病や抑うつにおいても,頭を悩ます
雑念があることが分かる。
思考抑制とは,ある種の考えを意識して追い出そうという意図である。代表的
な質問紙であるWhite Bear Suppression Inventoryは,思考抑制の動機と努力と
を測定している。
感情障害の患者の中で,抑うつ症状とWBSIとの間には有意な正の相関が認めらた
��Spinhoven & van der Doesa, 1999)。
健常者と比べ,うつ病の履歴がある人やリスクのある人は,WBSIの「思考抑制」
尺度の得点が有意に高かった(Wenzlaff, Rude, Taylor, Stultz, & Sweatt,
2001)。
健常者と比べ,うつ病の履歴がある人やリスクのある人は,WBSIの得点が有意に
高かった(Wenzlaff, Rude, & West, 2002; Wenzlaff, Meyer, & Salas, 2003)。
また,このブログで紹介したBellochらの研究でも,うつ病の人は,健常者と
比べ,WBSIの得点が高い。
つまり,うつ病の人は健常者と比べ,思考抑制の傾向が強いと言える。
さらに,抑うつ症状と思考抑制との関連も示されている。
Wegner & Zanakos(1994)では,大学生を対象とした調査で,
WBSIとBDIとが有意な正の相関を示した。
WBSI日本語版でも,BDIと有意な正の相関を示した(小川・藤原・木村・余語,2006)。
また,小川らとは別に,WBSIを独自に日本語訳した研究(松本,2008)でも,
やはりWBSIとSDSとが有意な正の相関を示している。
つまり,抑うつ症状が強い人ほど,思考抑制の動機や努力が強く,
そのために常時奮闘しているようである。
まとめると,うつ病者や高抑うつ傾向者は,ある種の考えを意識して追い出そう
という意図や動機が強いことが分かる。
この背景には,思考が制御困難になっていることがあるのかもしれない。
どうして,抑うつの人は雑念が多いのだろう?
考えたくないことに対して,うつ病の人や高抑うつ傾向者はどのような手段で
反応したり対処したりしているのだろう?
また,それは,当の考えたくないことに,どのような影響を及ぼしているのだろう?
といったことを,これから調べたり考えたりして,このブログに載せていきます。
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