Metacognitive Therapy for Anxiety and Depression(英語版)(日本語版)のPrefaceを
まとめてみました。(#は私なりのコメントです)
#メタ認知療法とは,従来の認知療法のように「何を考えるか」という観点からでなく,
「どのように考えるか」という観点から,不安障害と気分障害の維持を考察し,
介入する新しい認知療法です。
まとめてみました。(#は私なりのコメントです)
#メタ認知療法とは,従来の認知療法のように「何を考えるか」という観点からでなく,
「どのように考えるか」という観点から,不安障害と気分障害の維持を考察し,
介入する新しい認知療法です。
認知の重要性
思考が感情と心理面のウェルビーイングに影響を及ぼす。
#従来の認知療法を踏まえている。
MCTの中心的前提:精神障害は,思考がどの程度持続・反復するか
(裏を返せばどの程度一過性か)による=思考スタイルの選択とコントロールのプロセス。
規定するのはメタ認知(=自身の内的経験にどのように関与するか)。
CTとMCTの違い
従来の認知行動理論 | MCT | |
焦点 | 偏った思考の内容 | 思考の反復,持続の程度。陰鬱で制御困難。 |
無益な思考パターンの 原因への関心 | なし(強いて言えばネガティブな信念) | あり。メタ認知。 自身の思考とどのような関係を持つか(つき合うか)。 |
感情的苦痛の中心 | 自動思考 | 精神的プロセスの制御,持続する思考に対する考え方の選択 (CAS;無益な,心配/反芻のプロセスおよび精神的制御の方略) |
メタ認知理論の提案:思考と情動の障害の原因となるメタ認知は,
従来のCBTで強調されてきた他の思考や信念とは別個のものである。
MCTに至るまでにWellsが必要としたこと
考え方を制御し,苦痛な思考を強化し拡大させる要因の説明→メタ認知に求めた。
・メタ認知概念とそのアセスメント法の拡張
・メタ認知の観点から精神障害の注意と精神的プロセスを定式化
メタ認知:思考を制御し,モニターし,評価する内的な要因。
次の3つに下位分割できる。
・知識:「私が物事に対処するためには心配しなくてはならない」
・経験:既知感FOK
・方略:思考をコントロールし信念を護持するやり方。
中心となる考え:メタ認知→精神障害で認められる無益な思考スタイル→ネガティブな感情の持続
・メタ認知理論厳密バージョン(#メタ認知(的信念)が他の信念やスキーマを生成するという意味で,それらよりも一段上と考える)
不合理な信念やスキーマ(の持続性,影響力)はメタ認知の産物。
すなわち,メタ認知→注意を操作,考え方のスタイルを決定,対処行動を先導
→非機能的な知識の反復生成→回収され信念やスキーマを補強
#信念のダイナミックな捉え方。
セラピーでは,メタ認知だけを修正すべし。
#MCTでは,自己と世界に関する信念を,従来の認知療法理論が仮定するような,
不変の安定した構造ではなく,メタ認知による処理によってその都度生成される産物とみなしている。
・メタ認知理論柔軟バージョン:(#メタ認知的信念は,自己と世界に関する(従来の認知療法理論が提案した)他の信念とともに存在
(#他の信念と横並びで影響を与える)メタ認知的信念は,認知を制御し,
メタ認知以外の全般的な信念と知識を利用できる別カテゴリー。
セラピーでは,従来型の信念だけでなく,メタ認知的信念も扱うべし。
メタ認知的アプローチのセラピーへの意義(どちらのバージョンを取るにせよ)
・伝統的なCBT:思考と信念の妥当性を問う
・MCT:修正すべきは,非適応的なスタイルの,制御困難な反復的でネガティブな考え方を生じさせるメタ認知
(#思考および信念と新しい関係を進展させられるように)
例.トラウマを扱うMCT:「心配/反芻,脅威への注意の固定,思考の回避による対処→通常起き得るプロセスを阻害。
危険に対する思考と症状の持続」と考える。
セラピーのターゲット:心配/反芻の除去,脅威モニタリングの放棄,回避,抑制,考え込み以外で思考に対処。
信念への取り組みとは,自己の認知についての信念(メタ認知的信念)。
例.抑うつを扱うMCT:ネガティブな自動思考の内容でなく,反芻というプロセスがターゲット。
繰り返されるネガティブな思考スタイルを絶ち,柔軟性を取り戻す注意訓練。
「抑うつ的な思考はコントロールできない」というネガティブなメタ認知的信念,
「反芻することは,対処と,悲しみの答えを見つける手段」というポジティブな信念に取り組む。
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