Morone, N.E., Greco C.M., & Weiner, D. K. (2008). Mindfulness
meditation for the treatment of chronic low back pain in older adults: A
randomized controlled pilot study. Pain, 134, 310-319.
キーワード:高齢者,腰痛,マインドフルネス,瞑想,ランダム化,比較試験
先日,「慢性疼痛のマインドフルネス心理療法を行ったら,
これら2つの尺度にどんな変化が見られるのだろうか?」
と書いていましたが,ちゃんと研究されていました。
高齢者の約1/3~1/4が腰痛に悩んでいる。
これまでのところ,若年層の慢性疼痛には
マインドフルネス瞑想法プログラムが
適用されている。
しかし,高齢者の腰痛に適用した研究はない。
マインドフルネス瞑想法プログラムに対するアドヒアランスや効果の点で,
高齢者は若年者と違いがあるかどうかを検証した。
方法
協力者:地域在住の,慢性の腰痛を持つ65歳以上の方を募集。
⇒「マインドフルネス瞑想群(8週間)」と「待機リスト群」とに無作為割付。
測度:SF-MPQ(痛みの強度),CPAQ(痛みに対する受容),SF-36(QOL),
Roland Morris Questionnaire(身体的機能)
これらを,ベースライン,プログラム終了時点,
終了から3ヶ月後のフォローアップの3つの時点で評価。
結果と考察
協力者の参加状況
マインドフルネス瞑想群 ベースライン19名
⇒ 8週間のプログラム終了時点で12名 ⇒ フォローアップ時12名
待機リスト群 ベースライン18名
⇒ 8週後で17名 ⇒ フォローアップ時13名
マインドフルネス瞑想群のアドヒアランス(平均)
8回のクラス中,参加は平均6.7回,1週間に4.3日瞑想を行っており,
瞑想に取り組んだ時間は31.6分。
マインドフルネス瞑想群では,ベースラインと比べ,
プログラム終了時点で,SF-36の身体的機能尺度の得点,
CPAQの総得点とActivity Engagement得点が有意に高かった。
慢性腰痛の高齢者に8週間のマインドフルネス瞑想法のプログラムを提供すると,
プログラム終了時点では,痛みの強度は変化しないけれど
身体的機能が向上し,痛みを受容して必要なことをする,という変化が起きる。
ただし,3ヵ月後のフォローアップでは,マインドフルネス瞑想群とウェイトリ
スト群とで有意差は見られなかった。
フォローアップで効果が続くにはどうしたらいいんだろう?
せっかく出ている効果が弱まっていくのは残念だ。
今思いつくのは,
・プログラムの内容を変えること,
・プログラムの期間を延長すること,
・プログラム終了後にブースターセッションを設けること,だろうか。
ある心理的側面を評価する尺度を,介入の効果を調べる指標として使う
という研究の進め方。いいなあ。
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