2010年7月28日水曜日

マインドフルネスの尺度あれこれ,その名称と書誌情報

以前のエントリーで触れました,マインドフルネスの様々な尺度について,
その名称と書誌情報とを紹介しておきます。

・Mindful Attention Awareness Scale(MAAS)
Brown, K. W., & Ryan, R. M. (2003). The benefits of being present:
Mindfulness and its role in psychological well-being. Journal of
Personality and Social Psychology, 84(4), 822-848.
 www.ppc.sas.upenn.edu/mindfulnessscale.pdf
で,英語版の実物を見ることができます。
・Kentucky Inventory of Mindfulness Skills(KIMS)
Baer, R. a., Smith, G. T., & Allen, K. B. (2004). Assessment of
mindfulness by self-report: the Kentucky inventory of mindfulness skills.
Assessment, 11(3), 191-206.
・Toronto Mindfulness Scale(TMS)
Lau, M. A., Bishop, S. R., Buis, T., Anderson, N. D., Carlson, L.,
Carmody, J., et al. (2006). The Toronto Mindfulness Scale : Development
and Validation. Online, 62(12), 1445-1467.
・Cognitive and Affective Mindfulness Scale-Revised (CAMS-R)
Feldman, G., Hayes, A., Kumar, S., Greeson, J., & Laurenceau, J. (2006).
Mindfulness and Emotion Regulation: The Development and Initial
Validation of the Cognitive and Affective Mindfulness Scale-Revised
(CAMS-R). Journal of Psychopathology and Behavioral Assessment, 29(3),
177-190.
・Freiburg Mindfulness Inventory(FMI)
Walach, H., Buchheld, N., Buttenmuller, V., Kleinknecht, N., & Schmidt,
S. (2006). Measuring mindfulness: the Freiburg Mindfulness Inventory
(FMI). Personality and Individual Differences, 40(8), 1543-1555.

2010年7月23日金曜日

介入研究の協力者をどうやって募集するか?

今日,ある先生とお話していて,「介入研究の協力者をどうやって募集するか?」
という話題になりました。

大学で研究をやってる場合,学内に張り紙を出したりすれば,
学生さんが集まってきます。
現に,うちのラボの知覚系や認知系の人たちは,
そのようにして協力者を募っています。
では,学生でなく,一般の方を協力者として募集したいときにはどうするか。
タウン誌やHPで募集するという方法が考えられます。
確かに,Baby Scienceというか,赤ちゃんを対象にして
いろいろな実験をやる人たちは,タウン誌に広告を出したり,
研究室のホームページでも広報をされています。
実際,それが功を奏して,協力者の赤ちゃん(というか,実質はお母さん)
が,それなりの数,集まったりします。
私の知り合いも,かつてそのようにして研究をしていました。
ここで気になるのは,これと同じことが,臨床心理などの介入研究でも
できるのだろうか,ということ。
赤ちゃんを協力者にした研究だと,なんだか微笑ましいというか,
楽しそうな気がするものだし,どんなことが分かるのか,
ワクワク感があるので,広告やホームページを見たお母さんたちが
応募してくださるのだろう,と勝手に想像しています。
だけど,臨床心理などの介入研究は,こういう印象を持たれにくい
だろうから,応募してくださる方の数は少なくなるのではないかな。
さらに,臨床心理っぽい介入研究の協力者になることに関心を
持ってくださる方というのは,一般の方とは大きく異なる,
特別な層に属している気がします。
いわゆる,サンプリングバイアスの問題です。
だから,知見を一般化するのに慎重になる必要があるのかもしれない。
などと,「できない理由」を書き連ねてはいけませんね。
介入研究をやろうとされる心意気,素晴らしいと思います。
いろんな制約や問題がある中で,少しでも良質の研究をするのに,
どのような手立てをしていったらいいのか,と考えなくては。
それにしても,今の私には実体験もアイディアもありません…。
この記事をお読みの方の中で,「一般の方を対象にした介入研究で,
協力者を募集するときに自分(たち)はこのようにしましたよ」
といった体験談やノウハウをお持ちの方がいらっしゃったら,
ぜひぜひアブスト屋までお知らせください。

2010年7月14日水曜日

マインドフルネスの尺度あれこれ

マインドフルネスをテーマにして研究しようと思ったら,
マインドフルネスを測定する尺度が必要になりますよね。

じゃあ,既にどんな尺度があるんだろう?

杉浦 義典 (2009) アナログ研究の方法 新曜社
の,「マインドフルネスをめぐる多様な測定尺度」(pp.168-173)で,
2003年から2008年までに発表されたマインドフルネスのさまざまな尺度が
紹介されています。表5-2がとっても分かりやすい。
「確かに,その時期,日本心理学会の大会に行くと,マインドフルネス関係の
尺度を開発しているポスター発表がいくつかあったなあ」とか,
「これらの尺度の日本語版は出ていないのだろうか?」とか思ってみたり。
慢性疼痛に特化したものではなく,対象者は一般人口,寛解中のうつ病患者,
境界性人格障害などです。しかし,慢性疼痛でも適用可能かもしれない。
個人的には,「観察」の因子(自分の体験に注意を向けること)が,
瞑想を体験したことがない人では心理的症状と正の相関を示すが,
瞑想の訓練を経た人では負の相関が見られることが興味深かった。
瞑想を体験したことがない人と,瞑想の訓練を経た人とで,
「観察」の因子から心理的症状へ引いたパス係数の符号が異なるのかを,
同時多母集団解析で調べたらどうなるんだろう?