「古典的テスト理論(CTT)における項目困難度と項目識別力」という記事の補遺です。
高橋正視(2002) 項目反応理論入門-新しい絶対評価- イデア出版局
の説明をまとめました。
正答率
古典的テスト理論でも,項目ごとの分析は行われる。正答率=その項目の正答者の人数/全受験者の総数
#高橋(2002)では,一貫して,「正答」でなく「正解」という語が使用されています(e.g., 「正解率」,「正解者」)。しかし,上記の記事との整合性を保つため,「正答」に置き換えました。#その項目に,全体の人数のうち,どれくらいの人が正答できたか。読み方:1に近ければやさしい項目,0に近ければ難しい項目その項目に正答した人を1,そうでない人を0としたときの,その項目の平均値。正答率は二項分布になる。この二項分布についても,分散や標準偏差を計算できる。正答率(平均値)をpとすると,分散=p×(1-p)標準偏差=その平方根p=0.5のとき,標準偏差は最大値0.5=情報料が最多。分析に有用。ただし,選択式の問題でまぐれ当たりの可能性がある場合は,0.5より少し大きな値がよいとされる。
弁別指数
項目弁別力とも呼ばれる。その項目が,受験者の能力上位者と下位者についてどれだけ差がついているか示すもの。弁別指数=(上位グループの正答率)-(下位グループの正答率)上位と下位のグループをどう決めるか。通常は上位と下位それぞれ27%。しかし,弁別指数の提唱者が27%という数字を用いただけ。特に根拠なし。#その提唱者が誰かについての記述はない。#Guilfordの「精神測定法」にも,「両端群からの困難度指数」という項目で
27%という数字が出てくる(p532)。しかし,提唱したのが誰かは不詳。弁別指数が負になる項目=成績良好者の方が出来が悪い→不適切な項目。弁別指数≧0.4→良問弁別指数<0.2→よくない。次回から使わない。
点双列相関係数
弁別指数=計算が容易で分かりやすいが,成績中位者の情報を利用していない。⇒すべての情報を使って計算する,弁別指数のようなもの=点双列相関係数0.3以上が望ましいとされる。
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