「慢性疼痛におけるメタ認知」という,私の関心事にピッタリの論文が見つかりました。要約のみで,本文はまだ読めていませんが。
Schütze, R., Rees, C. S., Slater, H., Smith, A., & O'Sullivan, P. (2017). "I call it stinkin' thinkin'": A qualitative analysis of metacognition in people with chronic low back pain and elevated catastrophising. British Journal of Health Psychology, (in press). http://doi.org/10.1111/bjhp.12240
目的 痛みの破局化は,アウトカム変数の不良さと強い関連を持つため,定量的な研究においては広く研究されている。しかしながら,痛みの破局化という構成概念の性質は不明である。本研究では,痛みの破局化のうち,反すう(繰り返される)という次元に着目し,破局化を行わせる要因(=メタ認知)について,質的研究を行った。その目的は,①人が反すうに対してどのような態度を抱くのか(=メタ認知)明らかにすること,②そうしたメタ認知が,反すうの経過にどのような影響を及ぼすかを検討すること,であった。
方法 三次医療施設(専門医によって治療が提供される施設)において,半年以上の腰痛を抱え,PCSで30点以上であった成人15名に,半構造化面接を行った。逐語録に対して解釈的現象学的分析を行った。
結果 目的①に対しては,痛みの反すうに対して,ポジティブな態度(e.g., 考えることは対処の助けになる)とネガティブな態度(e.g., 反すうはコントロールできない)の両方が存在することが分かった。しばしば,同じ人がこれら2つを同時に保持し,葛藤を生じていた。目的②に対しては,ポジティブなメタ認知もネガティブなメタ認知も,ともに思考の反復に寄与していることが示された。しかしながら,ネガティブなメタ認知的信念(e.g., 心配することは役に立たない)によって,具体的な問題解決と積極的な対処行動が行われ,反すうのエピソードを終わらせているようだった。
慢性疼痛の患者さんも,破局化という認知処理に対して,「役立つ」というポジティブなメタ認知的信念と,「コントロールできない」というネガティブなメタ認知的信念の両方を持っているようです。
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