2015年8月25日火曜日

メタ認知療法についての私的まとめ③ 「精神障害のメタ認知モデル」

self-reguratory executive functionモデル(S-REF; Wells & Matthews, 1994, 1996; Wells, 2000)を詳述。
感情障害がトップダウンコントロールによって維持されることを認知的,メタ認知的に説明

認知的プロセスが,相互作用する3つのレベルに渡って存在すると想定。
①低次処理過程(自動的で反射的な処理過程)
②認知スタイル(オンラインの過程。思考と行動を意識的に処理)
③メタシステム(メタ認知的知識・信念のライブラリー。長期記憶に貯蔵)


Figure1.1で,メタシステムは,他の通常のordinary認知システムと区別。
しかし,他のシステムと同様,他のレベルの処理に渡って分布。
メタシステム:進行中の,通常の認知処理(#=②)のモデル・表象を保持し,目標に向けて認知処理をガイド。
#③メタシステムが,②認知スタイルをコントロール

MCTの中核原則のひとつ:精神障害は,特有の,有害なスタイルの思考(CAS)の活性化と関連。
CAS→情動とネガティブな評価(e.g., 悲しみ,不安,怒り,無価値感)は一過性でなくなり,
長期的,反復的な障害にはまり込む。
#②がCASによって占拠される→精神障害。CASは②で起きる問題。

CASの構成要素
・執拗な(#しつこい)思考スタイル。心配/反すう。
・脅威に対する注意の焦点化
・裏目に出る,無益な対処行動(e.g., 思考抑制,回避,物質使用)
⇒情動を維持,ネガティブな考えを増強,脅威の感覚を維持。

例.パニック障害の発症におけるCASの効果
自然発生的なパニック発作(多くの人が体験)
・その後の発作を心配(CASの一部)→不安が持続
・身体感覚のモニタリング(CASの一部)→後続の発作のトリガー(身体感覚の侵入)を高める
⇒この認知‐注意のパターンを活性化しやすい→不安が亢進し,パニック発作を反復。
 この認知‐注意のパターン→「不安はコントロールできず,有害」という信念の形成。

#では,②におけるCASは何によって生じるのか?
CASのもとになる知識・信念はメタ認知的なもの。通常の認知領域(e.g., 自己や世界)のものではない。
#③メタシステムにおける信念によってである=トップダウンコントロール
(1)ポジティブな信念:CASを行う必要性(e.g., 症状のことを心配すれば大事なことを見失わない)
(2)ネガティブな信念:思考と感情の制御困難性,危険性,重要性
(e.g., 自分の心をコントロールできない。不安になると頭がどうにかなってしまう)

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