2015年12月28日月曜日

メタ認知療法の私的まとめ⑪ 大うつ病性障害のメタ認知モデル その1

大うつ病性障害のメタ認知モデル・メタ認知療法
焦点:患者が反芻の原因を理解し,この無益な処理を取り除くこと。
ネガティブな思考,悲嘆,喪失体験 → 反芻(=CASの重要な特徴)
CAS → 悲嘆とネガティブな信念が持続 → 抑うつエピソードに。



反芻と抑うつ思考
反芻=うつ病におけるCASの中核。大まかな定義:個人的問題に関する,制御困難な反復的思考。

メタ認知アプローチからの説明:心配も反芻も,感情と脅威的事象への対処が目的の反復的思考で構成される,自発的で積極的な対処方略。
・反芻 悲哀の理由を理解し,厄介な思考と感情に対処する方法を見い出すための心理的処理
 「なぜこんな気持ちになるんだろう?」,「どうやったらましな気分になるのだろう?」と自問自答。 
・心配 危険を予期し,回避や対処の方法を計画する
 「この先どうしたらいいんだろう?」,「どうやったら危険をかわせるだろう?」と自問自答。
メタ認知モデルによれば,心配も反芻も,内的出来事(e.g., ネガティブな思考や感情)をトリガーとして生じる,自己調節を意図した方略

ネガティブな自動思考と,それに続いて起きる心配/反芻との間の区別は重要。
・ネガティブな自動思考=伝統的CBTで重視されるが,MCTでは非機能的な処理スタイル(例:反芻)の単なるトリガー。
・MCTでは,その処理スタイル(反芻)の方を病因として重視し,治療の焦点に。

心配と反芻の違い→上述の,どのような問いに自問自答しているかに現れる。
・反芻=過去志向的 ⇔ 心配=未来志向的。
・反芻=理解と意味の成立に関連 ⇔ 心配=危険の回避と防止に関わる。
・ともに,ネガティブな経験の回避に関連。

まとめ 反芻と心配は,区別し得る点もあるが,重複している。
両者は,事象,情動,認知への対処を目的とした,ネガティブで,自己関連的な,反復性の思考方略のサブタイプ。
ともに,CASで描かれる概念的なプロセスであり,類似したメタ認知から出てくる → 介入にも類似点が。
(#メタ認知療法では,反芻と心配の相違点よりも共通点を重視)

うつ病におけるCAS
・反芻。心配も(抑うつ症状の再発や将来の対処能力を破局視)。
・脅威モニタリング:抑うつ症状と気分の変化に注目。例.エネルギーレベルや疲労の兆候をモニター → 問題の深刻度と対処能力を見積もる。
・非適応的な対処行動:活動と社会的接触の回避 ← 「反芻や休息は回復のための貴重な時間になる」という誤った信念。気分調節の手段として薬物を使用。悲哀,感情の疎隔(loss of affect)に代わる感情を得ようと自傷や自罰。

「メタ認知療法の私的まとめ⑪ 大うつ病性障害のメタ認知モデル その2」へ続きます。

Evernote はあなたがすべてを記憶し、手間をかけずに整理できるようにお手伝いします。Evernote をダウンロードする

0 件のコメント:

コメントを投稿