2015年12月3日木曜日

CTTにおける信頼性 測定の標準誤差と信頼性係数

CTTにおける最重要概念である信頼性(reliability)についてまとめました。




テストの信頼性が高い=テスト得点の安定性が高い。
いつ測定しても同じようなテスト得点が得られる。

信頼性係数を導くため,i番目の受験者の得点y iを以下のように表現。

y i = t i + e i

t i・・・受験者iの真の得点(受験者iに同一のテストを無限回繰り返して測定と
仮定したときのy iの平均E(y i)。個々の受験者iに関しては,t iは定数だが観測できない。
e i・・・測定時におけるランダムな誤差。
受験者iの測定誤差e iの標準偏差は,受験者iの測定の標準誤差と呼ばれ,
この値が小さいほど,テストによる受験者iの測定が正確に行われていると解釈できる。

受験者iの測定の標準誤差 受験者iについて繰り返し測定して得られたデータの
標準偏差を求めて推定。しかし,現実的には困難。
受験者iを含む受験者母集団を考える。測定のモデルは,

y = t + e

ここで,真の得点と誤差に関する仮定を以下のように置く。

E(e)=0r(t, e)=0
誤差の期待値も,teの相関も0

このとき,受験者母集団におけるテスト得点の分散σ2y,真の得点の分散σ2t
測定誤差の分散σ2eの間に以下の関係が成立

σ2y=σ2t + σ2e

σ2eを測定の誤差分散,その正の平方根を測定の標準誤差(standard error of measurement:SEMと呼ぶ。
一般に,テストにおける測定の標準誤差とは,先述の個人iについてのものでなく,こちらを指す。
すなわち,受験者母集団における測定誤差の平均的な大きさと解釈でき,
ひとつのテストから単一の指標として求められる。

テスト得点yの分散は,真の得点tの分散と,誤差eの分散の和に分解される。
このとき,真の得点の分散の,テスト得点の分散に対する比ρが,
テスト得点y信頼性係数(reliability coefficient

ρ=σ2t/σ2y

観測されるテスト得点yの変動のうち,真の得点の変動で説明できる割合,と解釈できる。

また,以下のようにも表せる。

ρ=σ2t/(σ2t + σ2e)=1σ2t/σ2y

測定の誤差分散σ2tが小さいほど1に近い値をとり,「測定の信頼性が高い」と言う。
逆に,σ2tが 大きいほど0に近い値をとり,「測定の信頼性が低い」と言う。

0 件のコメント:

コメントを投稿