「メタ認知療法」第1章「メタ認知療法の理論と特質」の「メタ認知の性質」
メタ認知の性質
メタ認知の研究:発達心理学→記憶の心理学,加齢と神経心理学の研究という流れ。
近年,Wellsはこれを精神障害の基盤として検討。
メタ認知という言葉が記述すること:認知の解釈,モニタリング,制御に関与する
あらゆる知識または認知過程(これらは相互に関連しあう)
→知識,経験,方略に分けられる。
知識と信念メタ認知的知識:自分自身の思考過程についての信念と理論。e.g., 記憶に関する効力感または集中力についての信念。特定の思考が有害であるという考え(思い込み)。そうした信念を持つこと→自身の思考に反応し,組織化する方法に影響。顕在性/潜在性による分類(精神障害のメタ認知理論に基づく)(1)顕在的(宣言的)知識 Explicit(Declarative) knowledge:言葉で表現できるもの。e.g.,「危険に集中していれば,危害を避けられるだろう」(2)潜在的(手続き的)知識 Implicit(Procedural) knowledge:直接,言語的に表現はできない。思考過程を導くルールやプログラムのようなもの。(e.g.,判断形成時の注意の配分,記憶検索,ヒューリスティックスの使用を制御する要因)。個々人の「考え方のスキル」。内容領域による分類(メタ認知療法に基づく)(1)ポジティブなメタ認知的信念:CASを構成する認知活動に関与することの利益・利点。e.g., 「将来について心配することは,私が危険を避けられることを意味する」(2)ネガティブなメタ認知的信念:思考と認知的経験の制御不能性,意味,重要性,危険性。e.g., 「私は自分の考えをコントロールできない」※個々の精神障害は,これらの領域の中で,何らかの内容特異性を持つと考えられる。MCTの想定:メタ認知的信念→ネガティブな思考,信念,症状,感情などへの反応の仕方(有害な思考スタイル。CAS)に影響→長期化する感情的苦痛経験メタ認知的経験:自身の精神状態に関する評価や感情(situational当該状況における#変転するという含み?)。e.g., パニック障害の患者が自分の行動のコントロールを失いつつあると信じること。全般性不安障害の患者が呈する,心配についての心配。我々になじみの,健常な例:Tip of the Tongue(TOT)。Feeling of Kowing(FOK)。MCTの想定:感情と思考についてのネガティブな評価=脅威(トリガー)→考え方を制御する試み。主観的な感情状態,認知に対する評価をもとに,脅威と対処の判断。しかし,しばしば目的に叶わず。e.g.,殺人を犯したかもしれないという強迫観念に苦しむ人が,記憶を探って空白期間を見つけてしまう→殺人を犯した可能性がある期間と解釈されてしまう。方略感情および認知に関わる自己調節のために,思考過程を制御し,変化させる反応。(認知活動を増強,抑制,変容)目的:認知の諸側面を変容することにより,思考やネガティブな感情を減らすこと。e.g., 備えをするために脅威に注意を向ける。苦痛な思考を抑制する。ポジティブシンキングする。気晴らし。精神障害における患者の主観的経験=制御できないことout of control。方略は,たいてい思考過程の性質を制御する試み。しかし,長期的には逆効果(脅威の感覚を維持する)。方略を規定するもの:自身の認知と感情の働き方に関するメタ認知的信念と内的モデル精神障害のメタ認知理論についてのここまでのまとめ「知識,経験,方略における不適応が合わさる→無益な思考パターン→精神障害」と想定
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