2015年8月13日木曜日

メタ認知療法についての私的まとめ③

「メタ認知療法」第1章「メタ認知療法の理論と特質」の「メタ認知の性質」

メタ認知の性質
メタ認知の研究:発達心理学→記憶の心理学,加齢と神経心理学の研究という流れ。
近年,Wellsはこれを精神障害の基盤として検討。

メタ認知という言葉が記述すること:認知の解釈,モニタリング,制御に関与する
あらゆる知識または認知過程(これらは相互に関連しあう)
→知識,経験,方略に分けられる。


知識と信念
メタ認知的知識:自分自身の思考過程についての信念と理論。
e.g., 記憶に関する効力感または集中力についての信念。特定の思考が有害であるという考え(思い込み)。
そうした信念を持つこと→自身の思考に反応し,組織化する方法に影響。 

顕在性/潜在性による分類(精神障害のメタ認知理論に基づく)
(1)顕在的(宣言的)知識 Explicit(Declarative) knowledge:言葉で表現できるもの。
e.g.,「危険に集中していれば,危害を避けられるだろう」
(2)潜在的(手続き的)知識 Implicit(Procedural) knowledge:直接,言語的に表現はできない。
思考過程を導くルールやプログラムのようなもの。
(e.g.,判断形成時の注意の配分,記憶検索,ヒューリスティックスの使用を制御する要因)。
個々人の「考え方のスキル」。

内容領域による分類(メタ認知療法に基づく)
(1)ポジティブなメタ認知的信念:CASを構成する認知活動に関与することの利益・利点。
e.g., 「将来について心配することは,私が危険を避けられることを意味する」
(2)ネガティブなメタ認知的信念:思考と認知的経験の制御不能性,意味,重要性,危険性。
e.g., 「私は自分の考えをコントロールできない」
※個々の精神障害は,これらの領域の中で,何らかの内容特異性を持つと考えられる。

MCTの想定:メタ認知的信念→ネガティブな思考,信念,症状,感情などへの反応の仕方
(有害な思考スタイル。CAS)に影響→長期化する感情的苦痛

経験
メタ認知的経験:自身の精神状態に関する評価や感情(situational当該状況における#変転するという含み?)。
e.g., パニック障害の患者が自分の行動のコントロールを失いつつあると信じること。
全般性不安障害の患者が呈する,心配についての心配。
我々になじみの,健常な例:Tip of the Tongue(TOT)。Feeling of Kowing(FOK)。

MCTの想定:感情と思考についてのネガティブな評価=脅威(トリガー)→考え方を制御する試み。
主観的な感情状態,認知に対する評価をもとに,脅威と対処の判断。しかし,しばしば目的に叶わず。
e.g.,殺人を犯したかもしれないという強迫観念に苦しむ人が,記憶を探って空白期間を見つけてしまう
→殺人を犯した可能性がある期間と解釈されてしまう。

方略
感情および認知に関わる自己調節のために,思考過程を制御し,変化させる反応。
(認知活動を増強,抑制,変容)
目的:認知の諸側面を変容することにより,思考やネガティブな感情を減らすこと。
e.g., 備えをするために脅威に注意を向ける。苦痛な思考を抑制する。ポジティブシンキングする。気晴らし。
精神障害における患者の主観的経験=制御できないことout of control。
方略は,たいてい思考過程の性質を制御する試み。しかし,長期的には逆効果(脅威の感覚を維持する)。

方略を規定するもの:自身の認知と感情の働き方に関するメタ認知的信念と内的モデル

精神障害のメタ認知理論についてのここまでのまとめ
「知識,経験,方略における不適応が合わさる→無益な思考パターン→精神障害」と想定
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