「メタ認知療法」 第1章 メタ認知療法の理論と特質
(今回は「メタ認知の性質」の前まで)
誰もがネガティブな思考を持つ
(今回は「メタ認知の性質」の前まで)
誰もがネガティブな思考を持つ
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思考をコントロールし,心の健全な制御(そうした思考を無視できる)と,
不健全な制御(より長く深い苦悩に沈みこむ)を分けるのは何か?
本書の主張:メタ認知。感情と感情に対する制御力を決定するのは,
人が何を考えるか(What)だけでなく,どう考えるか(How)。
我々の大半は,ネガティブな考え(e.g.,思考や信念)の柔軟な扱い方を身につけている
→不快な感情は一過性。
メタ認知療法の着想:メタ認知が引き起こす,内的経験に対する特有のパターンの反応
(=Cognitive Attentional Syndrome:CAS)
→ネガティブな感情を維持し,ネガティブな考えを強める→感情障害にはまりこむ。
※CAS=①心配/反芻,②固着化した注意,③無益な自己調節方略または対処行動,の3点セット。
メタ認知療法の基本原則:認知がどのように働くか,自己と世界についての意識的経験を
認知がどのように引き起こすかを理解する際に,きわめて重要なのがメタ認知。
・注意を払う対象と,その対象のどの要因が意識に侵入するかを形成(#注意と侵入を導く)。
・評価を形成し,どのようなタイプの方略を用いて思考と気分を制御するかに影響(#対処行動を導く)。
伝統的なCBT理論(e.g.,Beckのスキーマ理論,EllisのREBT)との異同
伝統的なCBT理論:①「思考過程における障害や歪み→精神障害」。②非機能的信念に中心的な役割。
共通点:MCT理論も大枠ではこの見解に同意しており,自らを認知療法の一種と見なす。
相違点:①障害されていたり歪んでいるのは特徴的な思考スタイル(CAS)(絶対的基準,白黒思考といった歪みではない)。
②非機能的信念のテーマは「思考」(メタ認知的信念)(通常の認知領域(世界,社会的,身体的自己など)ではない)。
治療ターゲットの違い
CBT:事象の解釈の仕方,経験に対する意味づけを扱う。自己と世界に関する,誤ったあるいは歪んだ見方が問題。
その思考内容とその内容の妥当性についての信念を変容。
MCT:人の考え方を扱う。柔軟性を欠き,繰り返される思考スタイルが問題。
無益な処理の除去。認知的主題はメタ認知レベルでだけ扱う。
誰もがネガティブな思考を経験するが,一過性。
長期,反復するネガティブな自己関連処理に個人を閉じ込める処理スタイル→感情障害。
その処理スタイルの背後にメタ認知。
本質的には,MCTは,思考がなぜ維持されるのか,なぜ誤った方向に対処が向かうのかにつながる要因を扱う。
信念について
CBT:通常の認知領域がテーマ(e.g.,「世界は危険だ」,「自分は不適切な人間だ」),安定した信念→誤った解釈
MCT:メタ認知領域における信念と,そこから生じる特有のパターンこそ,上記の信念の原因(上記の信念は産物に過ぎない)
真の治療ターゲット。
「私は失敗者だ」という思考を経験したとしても,その後の認知的・感情的反応パターンは異なる。
成功する努力をする場合もあれば,自分の失敗と弱点について考え込む思考の連鎖が続く場合も。
それは,背後にあって,こうした思考への反応を制御するメタ認知が異なるため。
メタ認知が精神障害の主要な推進力。
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セラピーの焦点は,個々の思考や信念の根拠を評価して修正・変容することを目指すのではなく,
これらの考えに反応する方法を変えること。
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