2015年8月30日日曜日

メタ認知療法についての私的まとめ⑤ Cognitive-Attentional Syndrome(CAS)の帰結

CASの何がまずいのか?

①評価と対処行動が信念に与える効果(Fig1.1の矢印A)
e.g., 脅威に注意を焦点化→「危険が存在する」という信念を強める。
不安を回避→「情動は中立無害」という真実に至れない。

②思考スタイルと対処が,下位レベルの自動的処理過程および情動レベルの処理過程
に与える効果(Fig1.1の矢印B)
e.g., 心配→不安のネットワークの活性化を維持→侵入イメージの処理から注意が逸れるため,
感情処理が阻害される

③メタシステムの知識と,下位レベルとの,直接の(#CASを介さない)関係(Fig1.1の矢印C)
e.g., ある種の自動的処理→後続の処理をガイドする知識,プランの検索をプライム

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心配/反芻の帰結
心配/反芻=ネガティブな情報に焦点化するバイアス→自己と他者について歪んだ印象。
e.g., 心配=将来の潜在的危険に焦点化するが,実際の確率とは無関係。
反芻=単一の,明確な答えがない問い(e.g., 「何で自分なんだろう?」)に答えを求める
→不確実さを持続

心配/反芻→脅威の感覚を活性化,維持→不安,抑うつが持続。貴重な注意資源を浪費。
プレッシャー下において,明快で制御された意思決定と思考を行えない。

心配/反芻の繰り返し→習慣強度を高める→気づきが薄れ,抑制されずに進行
#「気づいたら,なんとなく考えてしまっているんです」
習慣強度+気づきの薄れ→心配/反芻に対するコントロール感の喪失

認知的な自己制御プロセスに干渉
e.g., 心配=言語的→トラウマ後の感情処理に必要なイメージの処理を妨げる。
過去の失敗を反芻→将来を判断する際,失敗の題材へアクセシビリティを高める。

脅威モニタリングの帰結
潜在的な脅威のソースに注意を固定させる。それが問題になる理由
(1)主観的な危険の感覚を強める→情動的な活性化を維持・促進
(2)認知をガイドするプランないしプログラムを強化→熟練した,敏感な脅威検出者となる
(3)トラウマの場合,認知は,脅威のない通常の環境に戻る必要があるが,これを阻害
(4)恐怖の処理を行うネットワークfear-processing networkにバイアスを与え,侵入的経験を増やす

思考コントロール方略の帰結
通常のemotional processing(e.g., 思考に暴露を繰り返すことによる馴化)に干渉。

抑制→一貫して望まない思考を止められるわけではない。
失敗はコントロールの喪失と解釈される。

回避と物質使用→「様々な状況において対処が可能であり,情動は危険ではない」と
気づく機会を奪う。

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