第1章「はじめに」を要約する。
メタ認知とは,自分自身の思考や認知についての思考(Flavell, 1979)。
単一の概念ではなく,多面的なmulti-faceted概念。
3つの側面:メタ認知的知識,メタ認知的モニタリング,メタ認知的コントロール
表1.1 メタ認知に関する重要概念の定義
これら諸概念を,それぞれ単独ででなく,相互に関連させて理解するのに有用なのが,概念 | 定義 | 日常の例 |
認知 | 象徴的な心的活動と心的表象 | 学習,問題解決,推論,記憶 |
メタ認知 | ほかの認知についての認知 | |
メタ認知的知識 | ある種の認知についての宣言的知識 言葉で述べることができる,認知についての事実や信念 人一般についての場合も,個人に個別的な場合も 誤った信念を含むこともある。 #宣言的知識だけ?手続き的知識もでは? | ・学習がどのように機能するかについての知識 ・学習を改善する方法についての知識 ・「多くの場合,イメージを使って単語リストを学習する人は そうでない人よりたくさん覚えている」,「私は数独が苦手」 ・長年の研究で分散学習の有効性が示されているのに, 多くの学生は,試験前の一夜漬けの効能を信じる。 |
メタ認知的モニタリング | 認知活動の現在の状態を査定すること #査定は正確な場合も不正確な場合もある | ・問題の正しい解決に近づいているかどうかを判断する ・読んでいることをどれほどよく理解しているかを査定する |
メタ認知的コントロール | 認知活動のある側面を調整すること #認知活動を中断したり,続けると判断したり, 途中でそれを変更したりする | ・難しい問題を解くのに新しい方策を使うことに決める ・雑学的知識問題の答えを思い出そうとさらに時間をかけることにする ・単純リハーサルの反復を止め,語呂合わせに切り替える。 |
Nelson & Narens(1990)のメタ認知と認知の関係についての一般的枠組み。
メタ水準と対象水準
対象水準:進行中の認知過程。e.g., 注意,学習,言語処理,問題解決など。
メタ水準:遂行中の課題や,進行中の認知過程についての理解のモデルも含む。
このモデルは,課題の進捗状況のモニタリングと,メタ認知的知識により特徴づけられる。
e.g., 学習のモデル=「この章の重要概念を全部学習する」という目標+「静かな場所で効果的な方略を使うのがベスト」という信念
#モニタリングとコントロールは,2つの水準の間でどちらに情報が流れるかのprocessとして理解できる。
メタ水準が対象水準を修正(i.e., メタ水準→対象水準)⇒メタ認知的コントロール
対象水準の活動を,そのモデル(#メタ水準にある)の更新のためにモニター(i.e., 対象水準→メタ水準)⇒メタ認知的モニタリング
メタ認知研究における謎:人は,考え,同時に,考えている自分のことを考えもすることが一体どうしてできるのか?
(e.g., 勉強しつつ,勉強のことを考えもすること)
メタ水準と対象水準の枠組みから言えること
対象水準の思考過程からの情報がメタ水準によって表象されているとき,自己の思考を感知。
=対象水準で働いている認知についての高次の表象(モデル)を作ることで,考えていることをモニター。
⇒あらゆる認知過程はメタ水準の処理の対象であり得るという意味で,一般的であり,したがって強力な枠組み。
この枠組みが投げかける疑問
・人は進行中の思考過程をどのようにモニターできるのか。
・モニタリングは正確なのか,歪曲されているのか。
・進行中の認知活動をコントロールするために,モニタリングはどのように使われるのか。
・人は認知のコントロールを効果的に行っているのか。
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