Belloch, A., Morillo, C., & Garcia-Soriano, G. (2009). Strategies to control unwanted intrusive thoughts: Which are relevant and specific in obsessive-compulsive disorder? Cognitive Therapy and Research, 33, 75-89.
キーワード:強迫性障害,侵入思考,思考コントロール方略,思考抑制,
White Bear Suppression Inventory,Thought Control Questionnaire
慢性的な思考抑制や非機能的な思考コントロール方略が,
OCDの発症と維持に重要な役割を果たしていることは,先行研究で指摘されている。
目的
・OCDに関連がある抑制法,コントロール法は何?
・OCDに特異的なのはどれ?
この2つを明らかにすること。
なお,
・OCDに関連がある(relevant)…健常群と比べてOCD群が頻繁に用いる,
・OCDに特異的(specific)…うつ病群,OCD以外の不安障害群と比べて,
OCD群だけが頻繁に用いる,
という意味らしい。
方法
協力者:OCDの患者群,うつ病群,OCD以外の不安障害群,健常群の4群。
測度:スペイン語版Thought Control Questionnaire短縮版(TCQ-r)と,
White Bear Suppression Inventoryに回答してもらった。
また,BDI,STAIも。
結果と考察
まず,OCD群内では,WBSIとTCQ-rの罰尺度とが正の相関。
⇒ OCDの患者では,侵入思考を抑制する傾向が高い人は罰方略を用いやすい。
また,WBSIと心配尺度,再評価尺度との間でも,これより弱い正の相関が。
BDI,STAIを共変量としたANCOVAで4群を比較した結果は以下の通り。
・OCD群は健常群と比べ,WBSIの得点が有意に高かった。
しかし,うつ病群,OCD以外の不安障害群とは有意差なし。
⇒ 思考抑制はOCD relevant。OCD specificではない。
・TCQ-rの罰尺度は,他の3群に比べOCD群だけが有意に高かった。
⇒ 罰方略はOCD specific,かつOCD relevant。
・TCQ-rの気晴らし尺度は,うつ病群がOCD以外の不安障害群より有意に低かった。
OCD群はうつ病群,健常群と有意差なし。
⇒ 気晴らし方略はOCD specificでもOCD relevantでもない。
・TCQ-rの再評価尺度は,OCD群がうつ病群より高かった。
が,OCD群は他の2群と有意差なし。
⇒ 再評価方略はOCD specificでもOCD relevantでもない。
・社会的コントロール,心配の2つの尺度は,4群で有意差なし。
⇒ これら2つはOCD specificでもOCD relevantでもない。
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