Campbell, C. M., Witmer, K., Simango, M., Carteret, A., Loggia M. L., Campbell, J. N., Haythornthwaite, J. A., & Edwards, R. R. (2010). Catastrophizing delays the analgesic effect of distraction. Pain, 149, 202-207.
キーワード:実験型の疼痛,行動による鎮痛,気晴らし,破局的認知,カプサイシン。
気晴らしによる鎮痛法の効果は広く認められている。
ところが,その効き目の強さには個人差があることが分かっている。
その要因は一体何だろうか?
破局的認知が著しいと痛みに対する注意が強い。ここから,筆者らは破局的認知に着目した。
方法
大学生の協力者に,次の3つのセッション(各45分)をランダムな順序で体験してもらった。
①ビデオゲームによる気晴らしだけのセッション。
②疼痛誘導(10%のカプサイシンクリームを塗布し加温措置を保持)だけのセッション。
痛みの強さを5分ごとに報告してもらった。
③疼痛誘導+ビデオゲームによる気晴らしのセッション。
気晴らしをしながら痛みの強さを5分ごとに報告してもらった。
なお,報酬を払って,ビデオゲームに没入したことを保証。
痛みを取り去った後に,Situational Catastrophizing Questionnaire(Pain Catastrophizing Questionnaireの実験状況版)の得点で,破局的認知高群と低群とに分けた。そして,この2群で,①,②,③のセッション中の痛みの
強さを,セッション序盤の15分,中盤の15分,終盤の15分に分けて比較した。
結果と考察
筆者らは,③のセッションで,破局的認知低群に比べると,高群では気晴らしの鎮痛効果が弱いだろうと予想していた。
ところが,2群に鎮痛効果の差は見出されなかった。
ただし,破局的認知低群と比べて,高群では,序盤の15分間は鎮痛効果が見られなかった。
つまり,大学生の協力者に疼痛を誘導し,ビデオゲームで気晴らしをさせると,破局的認知高群は,
最終的な気晴らしの鎮痛効果は低群と変わらないけれども,効果が出るまでに時間がかかるということ。
立ち上がりが悪い。
臨床群だったらどうなるんだろう?知りたい。
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