2010年5月26日水曜日

慢性疼痛アクセプタンス尺度(CPAQ)の妥当性確認と短縮版の開発

Fish, R. A., McGuire, B., Hogan, M., Morrison, T, G., & Stewart, I.(2010). Validation of the Chronic Pain Acceptance Questionnaire (CPAQ) in an Internet sample and development and preliminary validation of the CPAQ-8. Pain, 149, 435-443.

キーワード:慢性疼痛,受容(アクセプタンス),
慢性疼痛アクセプタンス尺度(ChronicPain Acceptance Questionnaire;CPAQ),
確証的因子分析,妥当性



「慢性疼痛に対するアクセプタンス」とは,今現在の痛みを,回避しようとしたり,
減らそうとしたり,コントロールしようとしたりせずに経験すること。

ここには2つの行動プロセスが含まれている。
①痛みがあっても,自分にとって価値ある日常活動に取り組むこと
⇒ CPAQのactivity engagement尺度(AE)。11項目。

②痛みとのコンタクトを限定しようとするのをやめること
⇒ CPAQのpain willingness尺度 (PW)。9項目。


目的
①インターネットベースの,様々な慢性疼痛が含まれるサンプルで,
確証的因子分析を使って,CPAQの妥当性を検証すること。

②CPAQの短縮版を開発して,その妥当性を検証すること。

方法
サンプル:インターネット上で回答したサンプル319名,
筆記式に回答したサンプル109名

測度:CPAQ,HADS,BPI,過去6ヶ月の医療の利用歴。

結果と考察
インターネットサンプルを対象にして確証的因子分析。
⇒ AEとPWの2つの因子が得られた。

さらに,インターネットサンプルで項目を減らして短縮版を開発。
AEとPW,ともに4項目ずつになった。 ⇒ CPAQ‐8と命名。

筆記サンプルでも短縮版の因子構造が変わらないことを確認。

CPAQ‐8の信頼性と妥当性
α係数は.77以上。
CPAQ‐8と,もとの尺度との相関は.90以上。
もとの尺度がHADS,BPIとの間で示した相関パターンと,
CPAQ‐8がHADS,BPIとの間で示した相関パターンとは類似していた。
また,AE,PWとも,高いほど,過去6ヶ月,医療を利用することが少なかった。

構造方程式モデリング
痛みの強さは,痛みによる干渉,抑うつ,不安の3つに影響を与える(Fig. 1)。
AE,PEが,これら3つの影響のどれを媒介するのかを,構造方程式モデリングで
調べた。

AE 「痛みの強さ → 痛みの干渉」,「痛みの強さ → 抑うつ」,「痛みの強さ → 不安」
の3つで媒介効果が認められた(Fig. 2)。

痛みが強いとAEは低くなる。
��痛みの強さが一定であれば)AEが高いと,痛みによる干渉,抑うつ,不安が低くなる。


PW 「痛みの強さ → 痛みの干渉」,「痛みの強さ → 不安」の2つで媒介効果 が認められた。
しかし,AEと比べてパス係数の値が小さかった。
また,「痛みの 強さ → 抑うつ」は媒介しなかった(Fig. 2)。

痛みが強いとPWは弱くなる。
��痛みの強さが一定であれば)PWが高いと,痛みによる干渉,不安が若干低くなる。

CPAQの2因子構造がインターネットサンプルで確証された。
また,CPAQ-8が計量心理学的に健全であることの予備的なエビデンスが得られた。


慢性疼痛のマインドフルネス心理療法を行ったら,これら2つの尺度にどんな変化が見られるのだろうか?

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