古典的テスト理論について調べていて,「標本依存性」は正答率や識別力についてのことだと思いこんでいました。「Rによる項目反応理論」に,古典的テスト理論について池田先生の「現代テスト理論」を勧める記述があったので読んでみました。すると,「信頼性係数も標本依存」と書いてあるではありませんか。
信頼性係数の算出には,個々の項目の得点の平均(項目の正答率)や合計点の平均,標準偏差,相関係数などのテスト統計量を用いるわけですが,これらはいずれも,受験した集団の特性に影響されるわけです。
具体的には,同一のテストを受けた場合でも,受験者の等質性が低い集団の方が,等質性が高い集団よりも,信頼性が高くなりやすい。
言われてみると納得。
参考までに目を通してみた「教育測定学」でも,受験者集団の等質性が低い方が信頼性係数の推定値は高くなるのは,集団の非等質性が相関係数に影響するため,と,サラーっと書いてありました。
また一つ賢くなった(←あくまでポジティブ)。
参考文献
池田 央 (1994). 現代テスト理論 (pp. 27)朝倉書店
Linn, R. L. (Ed). (1989). Educational measurement, 3rd ed. The American Council on Education/Macmillan series on higher education.
(ロバート・L・リン. 池田 央・柳井 晴夫・繁桝 算男・藤田 恵璽(訳)(1992). 教育測定学 上巻 (pp. 213)学習評価研究所)
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