これから何回かに分けて,テスト理論における信頼性と妥当性についてのまとめを
書いていく計画です。
といっても,実際は,「心理テスト―理論と実践の架け橋」という本の,
信頼性の章と妥当性の章とを要約したものを書き出していきます。
さて,まずは信頼性についてです。
信頼性に関する4つの重要な区別
(1)信頼性と妥当性
・妥当性が問題にすること=テストが測ろうとしていることをきちんと測れているか(何を測っているか)。
・信頼性が問題にすること=測定の一貫性だけ。何を測っているかは関係ない→信頼性が高いが妥当性が低い検査はあり得る(妥当性が低いが信頼性が高い検査はあり得ない)。
(2)日常会話での意味と専門的な定義
・日常的な意味:信頼できる=当てになる。e.g., 故障しない機械,遅刻欠勤しない従業員。
・テスト理論における信頼性の意味:技術的(一貫性や再現性)で定量的(信頼できるテストは同じ被験者から一貫しておおよそ同じ得点が得られ,その得点は少なくともある程度の誤差の範囲内で再現される)。
(3)真の変化と一時的なゆらぎ
・測定されている特性の真の変化→信頼性を下げる要因とはならない。
・状況に由来するゆらぎ(e.g, くじ運。誰が採点するのか)→信頼性を下げる要因。
(4)定常的な誤差と規則性のない誤差
・定常的な誤差 測定されている特性が変わらないのにテスト得点を系統的に上(下)げる誤差。e.g., スペイン語が母語の子どもの知能を英語のテストで測る→知能は過小評価されるが,その度合いはテストが何曜日に行われてもだいたい同じ。信頼性はこうした定常的な誤差を説明できない。
・規則性のない誤差 信頼性が扱う対象
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