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2017年5月3日水曜日

【論文】破局化が強い慢性腰痛患者のメタ認知に関する質的分析

「慢性疼痛におけるメタ認知」という,私の関心事にピッタリの論文が見つかりました。要約のみで,本文はまだ読めていませんが。

2010年10月1日金曜日

Chronic Pain Acceptance Questionnaireの日本語訳

以前ご紹介した,慢性疼痛に対するアクセプタンスを測定する質問紙
Chronic Pain Acceptance Questionnaireの 日本語訳を見つけました。

2010年9月8日水曜日

I am pleased to inform you だそうです。

3ヵ月前に出会った,regrettablyという忌まわしき言葉。
その後,気持ちを切り替え,ジャーナルを変えて再投稿をしました。

そして,先日,その査読の結果が届きました。
今回は,楽しい昼ご飯を食べようとしているときでした。
予想より早かったので,ひょっとしてまたも忌まわしき言葉を
目にしなくてはならないのでは,などと弱気になったのですが。
I am pleased to inform you …と書いてあったのを見て救われました。
「適切な改訂を行ったら受理します」といった旨のことが書かれていました。
今は,嬉しいというより,ほっとしたという感じです。
査読者のお二人,いろいろ言ってきてます。
もちろん,きっちり直していきますよ。
「改訂した原稿を投稿しても,また査読があるので,受理を保証する
ものではありません」みたいな断り書きがしっかりしてあります。
ここでしくじったら元も子もない。
しっかし,明るい気分で改稿に取り掛かれるのはいい。
今年(今年度?)の前半は思うに任せないことがいろいろあって,
正直苦しかったのですが,腐らずにやってきてよかった。
この論文に関わって,バックアップしてくださった皆さんに感謝申し上げます。
それから,同じ時期に,近いテーマで,類似のジャーナルに投稿してこられた
先生方にも感謝したい。皆さん一筋縄ではいかない様子だったけれど,
タフに取り組んでおられる様子から,私も励まされました。
受理になる先生も出てきたようなので,私も後に続きたいものです。
そしてやっぱり,一番感謝したいのは,うちの相方です。
苦しい時にしっかり叱咤激励してくれたし,今回も喜んでくれました。
おかげで私も少しはタフになったと思う。
英文誌はどこもcompetitiveなんだと思います。
「投稿されてくる論文の数があまりに多いから,なるべく落としてほしい」
という要望が編集委員会から査読者にあるのではないだろうか。
そういった状況で論文を受理に持っていくためには,手堅くまとめられている
だけでなく,何かひとつ,光るものが必要だということを学びました。
いつも目線を高く持たないとね。
他にも,投稿したい原稿がいくつか手元にある。勢いに乗って出していこう。

2010年6月16日水曜日

文字通り,「痛みと鎮痛の基礎知識」満載のノートです

このWEBは、毎日脳細胞が死滅しつつある私のための
インターネット上のノートです。

ということですが。

できる子のノートを見せてもらってハッとしたという体験は
誰にでもあるでしょう。
私はこのノートを拝見して,ハッとしっぱなしです。

Pain Relief 痛みと鎮痛の基礎知識
文字通り,痛みと鎮痛の基礎知識が簡潔に,ふんだんに
盛り込まれています。
当ブログのリンクにも追加させていただきました。
心理的なアプローチとの関連では,
「痛みとは」の中の,さまざまな学説の変遷を取り上げている部分で
出てくる「慢性疼痛の恐怖ー回避モデル fear-avoidance model」,
すなわち,辛くて恐い痛みを避けようとすることが活動や生活空間を狭め,
慢性化へ至るという悪循環の理解こそが,慢性疼痛の認知行動療法の
出発点だと思います。
認知行動療法として提唱されている技法はいろいろあるように
思えますが,結局,上記の悪循環を弱め,患者さんに痛みに
直面していただくという目的のために,何に働きかけるか
��患者さん個人の認知なのか,行為なのか,はたまた,患者さんを
取り囲む人たちなのか)の違いなのかもしれません。
そういう目で「鎮痛法」の中の「心理療法」に書かれている
認知行動療法 ,認知療法 ,行動療法,自律訓練法,バイオフィードバック ,
森田療法,音楽療法,催眠療法,リエゾン診療などなど。

の記述を見渡してみたら,見通しがよくなった気がします。
��ああ,熱く語ってしまった…。勉強始めたばっかりなのに)
ちなみに,「注意転換法 distraction therapy」の解説では,
「三国志演義」では、華陀 (AD110-207, 後漢末の医師)は、無麻酔で関羽の手
術をしたことになっている。トリカブトの毒矢を受けた関羽の右腕を切り開き、
骨を削る手術をする。関羽は麻酔をしていないのに、手術中に、馬良を相手に平
然と碁をさしていたことになっている。しかし「三国志演義」はフィクションで
あり、正史「三国志」にはそのような記述はないそうだ。
なんて記述もあって,寄り道が楽しい。
��これを読むと,中学のとき貪り読んだ横山光輝の絵が眼前に広がります)
それから,歴史つながりで,「痛みと鎮痛の歴史年表」も楽しい。
例えば,「上海でBC5000年頃の土中から発掘された古代の鍼」をはじめとして,
紀元前から現代までの間ずっと,世界のあちこちで,痛みに関する記載が為され,
さまざまな鎮痛法が試みられてきたことが分かります。
痛みは人類にとって,(ありがたくない)お友達だったことが分かります。
そして今も,付き合っていかなくちゃいけない。
だからこのブログも存在するわけです(かなり強引?)。
まず,「痛みと鎮痛の基礎知識」で痛みと鎮痛法全般の基礎知識を身につけた後で,
昨日紹介した「文献斜め読み」で心理的介入の知識と感性を深める,という道筋で
勉強していったらいいのかもしれないな,と考えています。
作成者の小山なつ先生は,ここでまとめられたことから,
「痛みと鎮痛の基礎知識」上巻下巻を上梓されていらっしゃるようです。

2010年6月15日火曜日

Re: リンク開きませんでした・・・

「日本で,これから,慢性疼痛のマネジメントに心理士がどのような
貢献ができるか」を探ることが,このブログの目的の一つです。

患者さんの心理社会的背景に目配りすることが,心理士が持つ
大切な職能です。

特に,慢性疼痛への対応に特有の知識と技能を,心理士が身につける
必要があると考えています。

今日ご紹介するブログは,そのために大変勉強になります。

文献斜め読み
精神医学と心身医学の領域で,慢性疼痛のマネジメントに関する
日本語の論文のエッセンスを,抜粋して紹介しておられます。
当ブログで紹介しているマインドフルネス瞑想法というのは,
一定のプロトコルを複数の患者さんに適用するという性質の
セラピーです。特に,集団療法の時にはそうです。
このような,セラピーの規格化,効率化は重要な方向性です。
ただ,一方で,それぞれの患者さんの人となりやもつれた背景を
丁寧に解きほぐす視点なくしては,様々な恨み,憤り,わだかまりを
抱えた患者さんのお役には立てないだろうとも思います。
つまり,セラピーの個別化(カスタマイズ)という方向性です。
「文献斜め読み」で紹介されているのは,まさに,
この,慢性疼痛のセラピーを患者さんひとりひとりに個別化する
ために,どこを考慮に入れていったらよいか,なのです。
個人的には,Narrative-Based Medicineについて今まで勉強する
ことがほとんど無かったのですが,得るところが大きかったです。
当ブログのリンクに入れさせていただきました。

2010年6月11日金曜日

Regrettablyだそうです

3月末にある英文誌に投稿していた論文の査読結果が出ました。

Regrettably the above manuscript cannot be accepted for publication ….
ということで,リジェクトになってしまいました。
せっかく,相方と楽しい晩ご飯を食べようとしているときにメールを
送ってくるのなら,もっと吉報をもたらしてよね…。
査読のコメントを読んだところ,私が「この領域で新しくて面白い」と考えて
Introductionで導入した着眼点に対して,二人の査読者が共通して,
「この質問紙の組み合わせからは,その着眼点までは言えないのでは?」
と指摘していました。
やったことと整合するように,Introductionを書き直す必要があるのかな。
最近,他にも厳しいことがあったけれど,私の歩みをずっと見守ってくれている
方から,「ここで腐らないで,やり続けることが大事」と喝を入れてもらいました。
それを今また思い返しています。
相方は,「前に進もうとしているからこういう体験をするんだよね」と
エールを贈ってくれました。
落ち込んでいても事態は進展しない。
沢山の大切な人たちに一日も早くいいお知らせができるよう,
明日から改稿に取り組んでいこう。
こんなにタフというか,前向きになったのは人生で初めてかもしれない。
偉大なるかな,相方さん。今,隣の部屋でかわいい寝息を立てていますが。

2010年6月5日土曜日

高齢者の腰痛に対するマインドフルネス瞑想法の効果

Morone, N.E., Greco C.M., & Weiner, D. K. (2008). Mindfulness
meditation for the treatment of chronic low back pain in older adults: A
randomized controlled pilot study. Pain, 134, 310-319.

キーワード:高齢者,腰痛,マインドフルネス,瞑想,ランダム化,比較試験

先日,「慢性疼痛のマインドフルネス心理療法を行ったら,
これら2つの尺度にどんな変化が見られるのだろうか?」

と書いていましたが,ちゃんと研究されていました。

高齢者の約1/3~1/4が腰痛に悩んでいる。
これまでのところ,若年層の慢性疼痛には
マインドフルネス瞑想法プログラムが
適用されている。
しかし,高齢者の腰痛に適用した研究はない。
マインドフルネス瞑想法プログラムに対するアドヒアランスや効果の点で,
高齢者は若年者と違いがあるかどうかを検証した。
方法
協力者:地域在住の,慢性の腰痛を持つ65歳以上の方を募集。
⇒「マインドフルネス瞑想群(8週間)」と「待機リスト群」とに無作為割付。
測度:SF-MPQ(痛みの強度),CPAQ(痛みに対する受容),SF-36(QOL),
Roland Morris Questionnaire(身体的機能)
これらを,ベースライン,プログラム終了時点,
終了から3ヶ月後のフォローアップの3つの時点で評価。
結果と考察
協力者の参加状況
マインドフルネス瞑想群 ベースライン19名
 ⇒ 8週間のプログラム終了時点で12名 ⇒ フォローアップ時12名
待機リスト群 ベースライン18名
 ⇒ 8週後で17名 ⇒ フォローアップ時13名
マインドフルネス瞑想群のアドヒアランス(平均)
 8回のクラス中,参加は平均6.7回,1週間に4.3日瞑想を行っており,
瞑想に取り組んだ時間は31.6分。
マインドフルネス瞑想群では,ベースラインと比べ,
プログラム終了時点で,SF-36の身体的機能尺度の得点,
CPAQの総得点とActivity Engagement得点が有意に高かった。
慢性腰痛の高齢者に8週間のマインドフルネス瞑想法のプログラムを提供すると,
プログラム終了時点では,痛みの強度は変化しないけれど
身体的機能が向上し,痛みを受容して必要なことをする,という変化が起きる。

ただし,3ヵ月後のフォローアップでは,マインドフルネス瞑想群とウェイトリ
スト群とで有意差は見られなかった。
フォローアップで効果が続くにはどうしたらいいんだろう?
せっかく出ている効果が弱まっていくのは残念だ。
今思いつくのは,
・プログラムの内容を変えること,
・プログラムの期間を延長すること,
・プログラム終了後にブースターセッションを設けること,だろうか。
ある心理的側面を評価する尺度を,介入の効果を調べる指標として使う
という研究の進め方。いいなあ。

2010年5月26日水曜日

慢性疼痛アクセプタンス尺度(CPAQ)の妥当性確認と短縮版の開発

Fish, R. A., McGuire, B., Hogan, M., Morrison, T, G., & Stewart, I.(2010). Validation of the Chronic Pain Acceptance Questionnaire (CPAQ) in an Internet sample and development and preliminary validation of the CPAQ-8. Pain, 149, 435-443.

キーワード:慢性疼痛,受容(アクセプタンス),
慢性疼痛アクセプタンス尺度(ChronicPain Acceptance Questionnaire;CPAQ),
確証的因子分析,妥当性



「慢性疼痛に対するアクセプタンス」とは,今現在の痛みを,回避しようとしたり,
減らそうとしたり,コントロールしようとしたりせずに経験すること。

ここには2つの行動プロセスが含まれている。
①痛みがあっても,自分にとって価値ある日常活動に取り組むこと
⇒ CPAQのactivity engagement尺度(AE)。11項目。

②痛みとのコンタクトを限定しようとするのをやめること
⇒ CPAQのpain willingness尺度 (PW)。9項目。


目的
①インターネットベースの,様々な慢性疼痛が含まれるサンプルで,
確証的因子分析を使って,CPAQの妥当性を検証すること。

②CPAQの短縮版を開発して,その妥当性を検証すること。

方法
サンプル:インターネット上で回答したサンプル319名,
筆記式に回答したサンプル109名

測度:CPAQ,HADS,BPI,過去6ヶ月の医療の利用歴。

結果と考察
インターネットサンプルを対象にして確証的因子分析。
⇒ AEとPWの2つの因子が得られた。

さらに,インターネットサンプルで項目を減らして短縮版を開発。
AEとPW,ともに4項目ずつになった。 ⇒ CPAQ‐8と命名。

筆記サンプルでも短縮版の因子構造が変わらないことを確認。

CPAQ‐8の信頼性と妥当性
α係数は.77以上。
CPAQ‐8と,もとの尺度との相関は.90以上。
もとの尺度がHADS,BPIとの間で示した相関パターンと,
CPAQ‐8がHADS,BPIとの間で示した相関パターンとは類似していた。
また,AE,PWとも,高いほど,過去6ヶ月,医療を利用することが少なかった。

構造方程式モデリング
痛みの強さは,痛みによる干渉,抑うつ,不安の3つに影響を与える(Fig. 1)。
AE,PEが,これら3つの影響のどれを媒介するのかを,構造方程式モデリングで
調べた。

AE 「痛みの強さ → 痛みの干渉」,「痛みの強さ → 抑うつ」,「痛みの強さ → 不安」
の3つで媒介効果が認められた(Fig. 2)。

痛みが強いとAEは低くなる。
��痛みの強さが一定であれば)AEが高いと,痛みによる干渉,抑うつ,不安が低くなる。


PW 「痛みの強さ → 痛みの干渉」,「痛みの強さ → 不安」の2つで媒介効果 が認められた。
しかし,AEと比べてパス係数の値が小さかった。
また,「痛みの 強さ → 抑うつ」は媒介しなかった(Fig. 2)。

痛みが強いとPWは弱くなる。
��痛みの強さが一定であれば)PWが高いと,痛みによる干渉,不安が若干低くなる。

CPAQの2因子構造がインターネットサンプルで確証された。
また,CPAQ-8が計量心理学的に健全であることの予備的なエビデンスが得られた。


慢性疼痛のマインドフルネス心理療法を行ったら,これら2つの尺度にどんな変化が見られるのだろうか?

2010年5月23日日曜日

日本語で読める,慢性疼痛に対する心理的アプローチの入門書

先週,うつぶせに寝ていたら首が寝違えを起こしました。
右後ろを見ようとすると,首が痛いです。
ちょっと疼痛が身近になりました。早く治りますように…。

今日は,慢性疼痛に関する最新の英語論文ではなく, 慢性疼痛に対する心理的アプローチについて,日本語で読める入門書の紹介です。


</span><a href="http://www.amazon.co.jp/%E7%97%9B%E3%81%BF%E3%81%AE%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6%E2%80%95%E7%96%BE%E6%82%A3%E4%B8%AD%E5%BF%83%E3%81%8B%E3%82%89%E6%82%A3%E8%80%85%E4%B8%AD%E5%BF%83%E3%81%B8-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E4%B8%B8%E7%94%B0-%E4%BF%8A%E5%BD%A6/dp/4121009355"><span style="font-size: small">丸田俊彦 (1989). 痛みの心理学 -疾患中心から患者中心へ- 中公新書</span></a><span style="font-size: small">

痛みの定義から始まり,ゲートコントロール理論,うつ病との関連,医師と患者の関係など,幅広い論点がコンパクトにまとめられています。

慢性疼痛に対する認知行動療法に関しては, 最終章で,「痛み行動」という考え方や,それへの対応に言及されています。
「痛み行動」という考え方は,慢性疼痛を,生活上の問題という大きな視点で捉える上で役立ちます。


「痛み行動」というのは,痛みがあることを周囲の人たちに伝える様々なオペラ ント行動のこと。
例えば,「痛い」と言うこと,顔をしかめること,痛いところをかばう姿勢を取ることなど,実に様々です。

痛み行動に対して,周囲の人はついつい引き込まれて過剰な世話をしてしまいます。 例えば,痛みに関するグチを延々と聞き続けるといったことです。そうすることで,痛み行動がますます著しくなっていきます。そうして,家族との間に溝ができたり,職場での立場がなくなったりといった,生活上の問題を招くことになります。

そこで,周囲の人たちが「中立的な反応」をすることを勧められます。つまり, 痛み行動を示されたときに,周囲の人たちが淡々と反応することで,痛み行動を消去していくという方針です。

もちろん,そうすることが必要であることを説明し,納得を得るということが大前提です。

しかし,痛み行動に対して周囲が中立的な反応をするというのは,言うほど簡単ではありません。分かっているのに,ついつい痛み行動に引き込まれてしまい, 「またやってしまった…」となるのが普通です。周囲の人たちはこれを繰り返しながらポイントをつかんでいくのでしょう。


絶版なのが残念ですが,amazonのマーケットプレイスで手に入るようです。
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2010年5月12日水曜日

破局的認知が著しいと気晴らしの鎮痛効果が出るのが遅れる。

Campbell, C. M., Witmer, K., Simango, M., Carteret, A., Loggia M. L., Campbell, J. N., Haythornthwaite, J. A., & Edwards, R. R. (2010). Catastrophizing delays the analgesic effect of distraction. Pain, 149, 202-207.

キーワード:実験型の疼痛,行動による鎮痛,気晴らし,破局的認知,カプサイシン。

気晴らしによる鎮痛法の効果は広く認められている。
ところが,その効き目の強さには個人差があることが分かっている。
その要因は一体何だろうか?

破局的認知が著しいと痛みに対する注意が強い。ここから,筆者らは破局的認知に着目した。
方法
大学生の協力者に,次の3つのセッション(各45分)をランダムな順序で体験してもらった。
①ビデオゲームによる気晴らしだけのセッション。
②疼痛誘導(10%のカプサイシンクリームを塗布し加温措置を保持)だけのセッション。
痛みの強さを5分ごとに報告してもらった。
③疼痛誘導+ビデオゲームによる気晴らしのセッション。
気晴らしをしながら痛みの強さを5分ごとに報告してもらった。
なお,報酬を払って,ビデオゲームに没入したことを保証。
痛みを取り去った後に,Situational Catastrophizing Questionnaire(Pain Catastrophizing Questionnaireの実験状況版)の得点で,破局的認知高群と低群とに分けた。そして,この2群で,①,②,③のセッション中の痛みの
強さを,セッション序盤の15分,中盤の15分,終盤の15分に分けて比較した。
結果と考察
筆者らは,③のセッションで,破局的認知低群に比べると,高群では気晴らしの鎮痛効果が弱いだろうと予想していた。
ところが,2群に鎮痛効果の差は見出されなかった。
ただし,破局的認知低群と比べて,高群では,序盤の15分間は鎮痛効果が見られなかった。
つまり,大学生の協力者に疼痛を誘導し,ビデオゲームで気晴らしをさせると,破局的認知高群は,
最終的な気晴らしの鎮痛効果は低群と変わらないけれども,効果が出るまでに時間がかかる
ということ。
立ち上がりが悪い。
臨床群だったらどうなるんだろう?知りたい。

破局的認知と痛みへの対処の研究,今後の方向性は?

Keefe, F. J., Shelby, R. A., & Somers, T. J. (2010). Catastrophizing and pain coping: moving forward Pain, 149, 165-166

本ブログで紹介したCampbellらの論文に対して,好意的なコメントと展望とをKeefeさんが寄せている。

先行研究はクロスセクショナルなデザインで,手法は観察だった。
これに対して,Campbellらは実験法を導入した。これには次のような利点がある。
・サンプルを注意深く選択した。その結果,あり得る交絡変数(医学的障害や精神医学的障害,投薬,薬物乱用など)を除外できている。
・気晴らしの手続きは標準化され,注意深くモニターされている。
・疼痛の誘導法を工夫している。
・痛みの強さの評定が5分ごとにきめ細かく行われている。

将来の方向性
破局的認知の測度を実験の前と実験の最中でも測定するとよい。
⇒ 痛みとの連動を調べることができる。

示唆
疼痛に対する破局的認知の効果は,これまで考えられてきたよりも微妙なのかもしれない。今後の研究では,他の対処法略(e.g., イメージ,リラクセーション,自己陳述)に対して破局的認知が与える影響も調べるとよいのではないか。

臨床的示唆
破局的認知の傾向が高い人は,気晴らしの効果が出てくる前に止めてしまう可能性がある。そこで,破局的認知の傾向が高い人たちに対しては,気晴らしの効果について,粘り強くやっていると効いてくるという予期を形成する必要がある。