2015年12月30日水曜日
2015年12月28日月曜日
メタ認知療法の私的まとめ⑪ 大うつ病性障害のメタ認知モデル その1
大うつ病性障害のメタ認知モデル・メタ認知療法
焦点:患者が反芻の原因を理解し,この無益な処理を取り除くこと。
ネガティブな思考,悲嘆,喪失体験 → 反芻(=CASの重要な特徴)
CAS → 悲嘆とネガティブな信念が持続 → 抑うつエピソードに。
2010年6月9日水曜日
うつ病,抑うつ症状と思考抑制
今日はちょっと論文チックに,「ですます」調でなく「だ,である」調で
書いてみます。調べ物の備忘録的に。つっけんどんだったら許してください。
侵入思考やそのコントロールは,強迫性障害をはじめとした,不安障害の文脈で
語られることが多い。反面,うつ病や抑うつの文脈で語られることは少ない。
しかし,思考抑制の心理学的研究から,うつ病や抑うつにおいても,頭を悩ます
雑念があることが分かる。
思考抑制とは,ある種の考えを意識して追い出そうという意図である。代表的
な質問紙であるWhite Bear Suppression Inventoryは,思考抑制の動機と努力と
を測定している。
感情障害の患者の中で,抑うつ症状とWBSIとの間には有意な正の相関が認めらた
��Spinhoven & van der Doesa, 1999)。
健常者と比べ,うつ病の履歴がある人やリスクのある人は,WBSIの「思考抑制」
尺度の得点が有意に高かった(Wenzlaff, Rude, Taylor, Stultz, & Sweatt,
2001)。
健常者と比べ,うつ病の履歴がある人やリスクのある人は,WBSIの得点が有意に
高かった(Wenzlaff, Rude, & West, 2002; Wenzlaff, Meyer, & Salas, 2003)。
また,このブログで紹介したBellochらの研究でも,うつ病の人は,健常者と
比べ,WBSIの得点が高い。
つまり,うつ病の人は健常者と比べ,思考抑制の傾向が強いと言える。
さらに,抑うつ症状と思考抑制との関連も示されている。
Wegner & Zanakos(1994)では,大学生を対象とした調査で,
WBSIとBDIとが有意な正の相関を示した。
WBSI日本語版でも,BDIと有意な正の相関を示した(小川・藤原・木村・余語,2006)。
また,小川らとは別に,WBSIを独自に日本語訳した研究(松本,2008)でも,
やはりWBSIとSDSとが有意な正の相関を示している。
つまり,抑うつ症状が強い人ほど,思考抑制の動機や努力が強く,
そのために常時奮闘しているようである。
まとめると,うつ病者や高抑うつ傾向者は,ある種の考えを意識して追い出そう
という意図や動機が強いことが分かる。
この背景には,思考が制御困難になっていることがあるのかもしれない。
どうして,抑うつの人は雑念が多いのだろう?
考えたくないことに対して,うつ病の人や高抑うつ傾向者はどのような手段で
反応したり対処したりしているのだろう?
また,それは,当の考えたくないことに,どのような影響を及ぼしているのだろう?
といったことを,これから調べたり考えたりして,このブログに載せていきます。
書いてみます。調べ物の備忘録的に。つっけんどんだったら許してください。
侵入思考やそのコントロールは,強迫性障害をはじめとした,不安障害の文脈で
語られることが多い。反面,うつ病や抑うつの文脈で語られることは少ない。
しかし,思考抑制の心理学的研究から,うつ病や抑うつにおいても,頭を悩ます
雑念があることが分かる。
思考抑制とは,ある種の考えを意識して追い出そうという意図である。代表的
な質問紙であるWhite Bear Suppression Inventoryは,思考抑制の動機と努力と
を測定している。
感情障害の患者の中で,抑うつ症状とWBSIとの間には有意な正の相関が認めらた
��Spinhoven & van der Doesa, 1999)。
健常者と比べ,うつ病の履歴がある人やリスクのある人は,WBSIの「思考抑制」
尺度の得点が有意に高かった(Wenzlaff, Rude, Taylor, Stultz, & Sweatt,
2001)。
健常者と比べ,うつ病の履歴がある人やリスクのある人は,WBSIの得点が有意に
高かった(Wenzlaff, Rude, & West, 2002; Wenzlaff, Meyer, & Salas, 2003)。
また,このブログで紹介したBellochらの研究でも,うつ病の人は,健常者と
比べ,WBSIの得点が高い。
つまり,うつ病の人は健常者と比べ,思考抑制の傾向が強いと言える。
さらに,抑うつ症状と思考抑制との関連も示されている。
Wegner & Zanakos(1994)では,大学生を対象とした調査で,
WBSIとBDIとが有意な正の相関を示した。
WBSI日本語版でも,BDIと有意な正の相関を示した(小川・藤原・木村・余語,2006)。
また,小川らとは別に,WBSIを独自に日本語訳した研究(松本,2008)でも,
やはりWBSIとSDSとが有意な正の相関を示している。
つまり,抑うつ症状が強い人ほど,思考抑制の動機や努力が強く,
そのために常時奮闘しているようである。
まとめると,うつ病者や高抑うつ傾向者は,ある種の考えを意識して追い出そう
という意図や動機が強いことが分かる。
この背景には,思考が制御困難になっていることがあるのかもしれない。
どうして,抑うつの人は雑念が多いのだろう?
考えたくないことに対して,うつ病の人や高抑うつ傾向者はどのような手段で
反応したり対処したりしているのだろう?
また,それは,当の考えたくないことに,どのような影響を及ぼしているのだろう?
といったことを,これから調べたり考えたりして,このブログに載せていきます。
2010年5月27日木曜日
Re: 昨日は楽しかったですね
Joormann, J., Siemer, M., & Gotlib, I. H. (2007). Mood regulation in
depression: Differential effects of distraction and recall of happy
memories on sad mood. Journal of Abnormal Psychology, 116, 484-490.
最新,というほどではないけれど,最近の研究。
大うつ病性障害の発症と維持とに,ネガティブな情動や気分を制御する能力の
障害が関わっている,という論がある。
つまり,うつ病エピソードを経験する人は,そうでない人と比べて,抑うつ気分の
程度にはちがいがないが,それを制御する能力が損なわれている,という考え方。
関係がありそうな気分制御プロセスは次の2つ。
①気分不一致検索:ネガティブな気分がポジティブな記憶材料へのアクセシビリティー
を高める。人はそれを使って抑うつ気分を制御する。
②気晴らし:認知的資源を他のことに十分に振り分けて,気分に関係した思考に
注目するのを止める。
方法
協力者:以下の3群。
・健常群(うつ病になったことがない),
・うつ病寛解群(以前うつ病になったことがあるが,現在はうつ病ではない)
⇒うつ病患者が示す気分制御の問題が,うつ病症状のひとつ(=状態)なのか,
脆弱性を持つ人たちの持続的な性質(=特性)なのかを調べるため。
・うつ病群(今現在,うつ病)。
測度:気分の評定と,BDI-Ⅱ。
気分誘導:健常群とうつ病寛解群には,悲しい映画を見せて抑うつ気分を誘導。
課題
各群の協力者は以下のどちらかの課題に取り組んだ。
・気晴らし条件:単語を使ったパズルゲーム。
・ポジティブな記憶想起条件:高校時代のポジティブな出来事を思い出してもらう。
なお,想起されたポジティブな記憶の数や,独立な評定者による記憶のポジティブさ
の評定では,3群に違いはなかった。
結果と考察
健常群:気晴らし条件でも,ポジティブな記憶想起条件でも,抑うつ気分は改善された。
うつ病寛解群:気晴らし条件では抑うつ気分が改善された。
しかし,ポジティブな記憶想起条件では,抑うつ気分に変化はなかった。
うつ病群:気晴らし条件では抑うつ気分が改善された。
一方,ポジティブな記憶想起条件では,抑うつ気分が悪化した。
結論:うつ病の人は,ポジティブな記憶を想起することはできるが,
それを使って気分を制御する能力に障害がある。
この障害は,うつ病が寛解しても続くよう。
想起されたポジティブな記憶が気分に及ぼす影響は,うつ病(歴)があるかないかで
違っている可能性がある。
うつ病の方に気晴らしを促すときには,頭の外の何かに注意を向けてもらうのがよさそう。
depression: Differential effects of distraction and recall of happy
memories on sad mood. Journal of Abnormal Psychology, 116, 484-490.
最新,というほどではないけれど,最近の研究。
大うつ病性障害の発症と維持とに,ネガティブな情動や気分を制御する能力の
障害が関わっている,という論がある。
つまり,うつ病エピソードを経験する人は,そうでない人と比べて,抑うつ気分の
程度にはちがいがないが,それを制御する能力が損なわれている,という考え方。
関係がありそうな気分制御プロセスは次の2つ。
①気分不一致検索:ネガティブな気分がポジティブな記憶材料へのアクセシビリティー
を高める。人はそれを使って抑うつ気分を制御する。
②気晴らし:認知的資源を他のことに十分に振り分けて,気分に関係した思考に
注目するのを止める。
方法
協力者:以下の3群。
・健常群(うつ病になったことがない),
・うつ病寛解群(以前うつ病になったことがあるが,現在はうつ病ではない)
⇒うつ病患者が示す気分制御の問題が,うつ病症状のひとつ(=状態)なのか,
脆弱性を持つ人たちの持続的な性質(=特性)なのかを調べるため。
・うつ病群(今現在,うつ病)。
測度:気分の評定と,BDI-Ⅱ。
気分誘導:健常群とうつ病寛解群には,悲しい映画を見せて抑うつ気分を誘導。
課題
各群の協力者は以下のどちらかの課題に取り組んだ。
・気晴らし条件:単語を使ったパズルゲーム。
・ポジティブな記憶想起条件:高校時代のポジティブな出来事を思い出してもらう。
なお,想起されたポジティブな記憶の数や,独立な評定者による記憶のポジティブさ
の評定では,3群に違いはなかった。
結果と考察
健常群:気晴らし条件でも,ポジティブな記憶想起条件でも,抑うつ気分は改善された。
うつ病寛解群:気晴らし条件では抑うつ気分が改善された。
しかし,ポジティブな記憶想起条件では,抑うつ気分に変化はなかった。
うつ病群:気晴らし条件では抑うつ気分が改善された。
一方,ポジティブな記憶想起条件では,抑うつ気分が悪化した。
結論:うつ病の人は,ポジティブな記憶を想起することはできるが,
それを使って気分を制御する能力に障害がある。
この障害は,うつ病が寛解しても続くよう。
想起されたポジティブな記憶が気分に及ぼす影響は,うつ病(歴)があるかないかで
違っている可能性がある。
うつ病の方に気晴らしを促すときには,頭の外の何かに注意を向けてもらうのがよさそう。
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